まあだだよ デラックス版
まあだだよ デラックス版
黒澤明
発売日:2002-09-06
おすすめ度 ★★★★☆
売り上げランキング:30045
???黒澤明監督が敬愛する随筆家・内田百ケン(松村達雄)の後半生を、その教え子たち(井川比佐志、所ジョージなど)が主宰する「まあだかい」を主軸にしながら描き出していくヒューマン映画。
???現代では失われがちな師弟愛の美しさや尊さなどが、黒澤作品独自の極彩色の映像美でつづられていくが、そこには黒澤監督自身が歩んできた幼い日への憧憬が多分に込められているとみていいだろう。黒澤モノクロ映画時代を支えた名女優・香川京子が主人公の愛妻として久々に黒澤映画出演を果たしたことも、ファンにはうれしい話題だった。
???なお、黒澤監督はこの後『海は見ていた』の映画化を試みるも果たせず、また『雨あがる』の脚本を記すなどの活動を続けていたが、結果としては惜しくも本作が遺作となった。(的田也寸志)
★★★★★ 2006-01-24 ノラや、おまへは何処に居るのか
百聞先生の晩年を色々な随筆からお話を繋ぎ合わせ、ひとつのまとまった映画にしています。
頑固でとぼけた老先生のフザケタ笑える話からほのぼのと始まり、後半は嫌というほど泣かされます。最近流行りの安っぽいお涙頂戴ものとはレベルが違う。
百聞を読んでいて話を知っていても、受ける衝撃が尚も大きいことに驚かされます。
個人的には、コレとフランダースの犬で泣かない奴は人間じゃないと思う。
いっそ弱っているとき、泣きたいときにこそ観てみたら如何でしょう。
★★★☆☆ 2004-09-14 これが遺作になるとは・・・
黒澤明のファンとしても、そして内田百?のファンとしても少し残念な映画です。
確かに、黒澤監督がこの映画を撮るにあたって主題とした古き良き「師弟愛」というものは十分に描かれていると思いますが、内田百?のファンとしては如何せんやはり百?役の松村達雄氏がミスキャストだったように思います。確かに松村氏の演じている百?は、生徒に愛されるであろう可愛いおじいちゃんなのですが、実際の百?はもっと頑固で偏屈なくそじじいだったようです。百?の魅力の本質はそんなくそじじいでありながらも、生徒に愛されるというところだと思いますし、百?と弟子との間の愛情も、そんな百?の嫌なじじいだけど憎めないという人間性に根ざしているところが大きいと思うのです。そういった師弟関係での微妙な心理というものがこの映画にはあまりでていないように思えます。黒澤明ならそういった細やかな心理も描けたと思うのですが、やはり年だったのでしょうか、黒澤明のファンとしてはそこら辺がいまいち煮えきりません。
そんな中で、この映画最高の見所といえば、所ジョージの存在でしょう。巨匠黒澤をして「所君の映画は水のようだ」と言わしめたほどの彼の存在感は、並み居るベテラン俳優を押しのけて圧倒的に輝いています。
この映画が黒澤明の遺作となってしまったということは、この映画の完成度から言って多少残念なことに思えますが、心温まる良質な映画であるということはできるでしょう。
★★☆☆☆ 2004-09-11 超越のないクロサワ
老人の感性への退行。
クロサワは「赤ひげ」以降、(自殺未遂以降)、世界へ律動しなくなった。
そこでクロサワは超越していたのに、絵を描くような映画を作り始め、世界との親和と調和がどんどんテーマになっていった。
自分の立っている位置が見えない表現者の典型のような収束の仕方だ。
超越しないクロサワはクロサワではない。
初めから断念を構成し、見事に成熟させて行った小津安二郎と、対照的な終わり方をした。
★★★★★ 2004-07-18 黒澤監督最後の作品。
監督がご存命中につくった、最後の作品ですね。
私はまだ、黒澤監督の映画はこれしか見たことが
ありませんが、とても好きな映画です。
寺尾聡が、すごくいい味を出していると思いました。
言葉少な(ほとんどない?)でも、存在だけで
演技をしている、というか。何ともいい世界をつくり
出していると思いました。
あとは、所ジョージ。
えっ、黒澤監督の作品に所ジョージが出てるの?!って
思いましたが、これもまた、はまっています。
こんな先生に出会いたかったな、とも思わせられた
映画でした。
★★★★★ 2004-05-28 叙情的で美しい
上質で、そして暖かい映画です。劇中、ほとんどBGMが流れませんが、登場人物たち、実によく歌います。「仰げば尊し」、こんなにいい曲だったなんて。そして、先生の言う「ありがとう」という言葉、愛情に満ちていて、ステキです。日本語の美しさや、日本の曲の豊かさを認識します。大好きな映画です。
得点映像のディスクは、正直いって黒澤を持ち上げすぎのところが鼻につきます。せめて役者インタビューはほしかったです。
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