隠し砦の三悪人


隠し砦の三悪人
黒澤明
発売日:2003-03-21
おすすめ度 ★★★★★
売り上げランキング:10162


???戦乱の世の中、隣国の山名家と戦い敗れた秋月家の侍大将・真壁六郎太(三船敏郎)は、世継ぎの雪姫(上原美佐)を擁して隠し砦にこもり、軍用金とともに同盟国・早川領への脱出を試みる。
???黒澤明監督作品中でも、ハリウッドの時代大作を凌駕するスケールの大きさが誇らしいビッグ・エンタテインメント時代劇大作の優れもの。馬で逃走する敵を主人公が追いかけ、背中から真一文字にぶった斬るといったダイナミックな殺陣の数々は、その後のハリウッド映画アクションものでさまざまな形で流用されている。また、主人公らにまとわりつくふたりの農民(千秋実&藤原鎌足)も、後のアメリカ映画 『スター・ウォーズ』のロボット・コンビのモデルにもなった。いよいよ早川領への脱出シーンの際に、そこで主人公の味方となる旧敵(藤田進)が叫ぶ「裏切り御免!」は映画史上に残る名台詞。映像の1秒1コマに至るまで、ぴったり合わせた佐藤勝スペクタクル音楽の素晴らしさも特筆ものである。(的田也寸志)

★★★★★ 2006-10-01 これが代表作じゃないの?エンターテイメント魂
わくわく、ドキドキがとまりません。
のっけからカメラワークに惹きつけられます。(あの、落ち武者の登場のしかた!)
全く古さを感じさせない、話の面白さ、展開のテンポのよさ。
「七人の侍」は、あまりに長いため今となっては少々割愛したほうがいいんじゃないの?
と思いますが、この作品はちょうどよい塩梅。
もっとも当時映画は長いほうが観客は喜んだのでしょうが。

黒澤監督の代表作は「七人の侍」や「羅生門」だと思って最初に観て誤解してしまう人を増やすより、こっちを最初に見てもらったほうが入りやすいと思うんだけど。長さも手ごろだし。

ハリウッド映画に与えた影響がいかようなものか判る。
中学生ぐらいの子供に黒澤映画を見せるのだったら、まずこれでしょう。
そして高校生になったら「羅生門」も観てもらいましょうな。

★★★★★ 2006-09-06 藤原釜足と千秋実のコンビが何とも楽しい
監督の黒澤明が、「しんどいものを二本やったから、ひとつ追っかけ形式の面白い時代劇を作ってやろう、そんなきっかけでした」と語っている1958年(昭和33年)製作の映画。しんどかった二本とは、『蜘蛛巣城』と『どん底』のこと。
侍大将・真壁六郎太を演じた三船敏郎もよかったけれど、何より楽しかったのは、藤原釜足の又七と千秋実の太平の雑兵コンビのくされ縁、金銭欲をむき出しにしていがみ合うやり取りの面白さ。同郷のこのふたり、ぜーんぜん懲りない奴らなんですよねぇ(笑) 転んでもただでは起きない、その手にしっかり金を掴んでいなければ・・・・・・という、欲まる出しのふたり。「その金、おいらに半分よこせ」「やなこった。おらが先に見つけただ」などと言い争いながら、つかず離れず、雪姫逃避行の道中を共にする凸凹コンビ。あちこちでくすりとしながら、大いに楽しませてもらいました。
佐藤勝のテーマ音楽もいいっすねぇ♪ 軽快なマーチ調の音楽が、痛快なこの作品にぴたりと合っていて。冒頭のクレジット・シーンからわくわくしましたよ。
最後に、上原美佐の雪姫。彼女が一番生き生きと輝いて見えたのは、山中での火祭りのシーンでした。野性味が炸裂するこの火祭りの踊りの場面。一瞬の生の輝き、命の閃きを表現したこのシーンが心に残ります。

★★★★★ 2006-08-28 私の中での出色の黒澤作品。
時代劇黒澤映画・・・と言えば、どうしても、多くの人には、「七人の侍」が思い浮かぶだろうし、「椿三十郎」や「用心棒」などの方が、親しまれているのかもしれない。
しかし、私の中では、時代劇物として、黒澤映画の中では、出色の出来だと思われるのが、この作品である。

強欲で小心な、「庶民」というものの姿を通して、人間の生の姿を赤裸々なまでに描き出し、一方で、「欲」というもののもつ、凄まじい、それでいて、これほどに確かなものはないものを極めて的確に、そして、コミカルに描いた作品であり、その構成上も、一分の無理も感じられない逸品である。

また、武士に対する、この「庶民」の姿というものは、まさしく、映画公開当時の人々が持っていた、戦前の「官」というものに対する、「庶民」の姿であったろう。
そして、それは同時に、この、小心で、強欲で、それでいて、意外に利口な「世間」というものの姿、そのものでもあったのかもしれない。

★★★★★ 2006-07-17 哄笑 怒号 汗 光
黒澤明の諸作品でも 人気という点では 上位5本にはまず入る作品かと思っている。実際 この作品は三船敏郎の頂点の一つをなしている気がしている。アクションの切れ味、時折魅せる愛嬌等 三船敏郎の魅力が もう一杯詰まっている。

話の筋立ても非凡であるし 黒澤が脚本を練りに練った様子が目に見えてくる。実際 今の邦画に一番足りないのは 資金ではなく 途方も無く素晴らしい脚本なのだと思う。これは 才能を発掘する努力を邦画界が続ければ 必ず可能なはずだ。

映画として 小生が敢えて 難をつけるとしたら 前半部分がやや長い気がする点である。もう少し 前半を短く出来たら 更にひきしまった作品になっていた気がする。
しかし それは瑣末事に過ぎない。哄笑、怒号、汗、光が渦まく 未曾有の作品だ。

★★★★★ 2006-06-15 敵陣突破に挑む!
戦国時代を背景に、戦い敗れた大将が隠し持つ軍資金と世継ぎの姫と共に、困難な敵領域を突破しょうと試みる奮闘を描く、1958年製作・『黒澤 明監督』の痛快娯楽時代劇。
「山中家」と一戦を交え敗れた「秋月家」の残党は、お家再建の軍資金と世継ぎの姫と共に身を隠し、敵陣を突破しょうと脱出の機会を狙っていたが・・・・・・。
偶然にも軍資金(黄金)の一部を発見する百姓の太平(主演:千秋 実)と又七(主演:藤原釜足)の爆笑コンビの登場、孤軍奮闘する秋月家の大将・六郎太(主演:三船敏郎)の活躍。
また、敵・山中家の大将・田所兵衛(主演:藤田 進)との槍:槍の対決、‘裏切り御免’の策略で寝返りする救出劇、随所に描くハラハラ・ドキドキの危機一髪からの脱出など盛り込み、敵領域を突破する面白さは圧巻で、最後まで飽きさせない。
そして、熱演する太平:又七の爆笑コンビの葛藤劇が大いにいかされ、脇役を生かした作品の出来ばえには驚かされるが・・・・・。


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七人の侍


七人の侍
黒澤明
発売日:2002-10-25
おすすめ度 ★★★★★
売り上げランキング:807


時は戦国時代。夜盗化した野武士の横暴に苦しむ農民たちは、侍を雇って村をまもろうとする。かくして集められた7人の男たちの活躍をダイナミックに描いた、巨匠・黒澤明監督の堂々3時間30分に及ぶ、古今東西の映画史上永遠に残る名作中の名作。
合戦シーンのすさまじさとリアルさは言うに及ばず(三船敏郎が「1本の刀では5人も斬れん」とストックの刀を用意するところはゾクゾクした)。7人の個性的面々のキャラクターの見事な描き分けもすばらしい。個人的には、リーダー格の志村喬のおおらかな威厳と、無口な剣の達人・宮口精二のニヒリズム、ユーモラスな加東大介が好みだ。農村の自衛を描いていることから、公開時は自衛隊礼讚映画といった批判の声もあがったが、無論今ではそんな無粋(ぶすい)なことを言う者はいない。(的田也寸志)

★★★★★ 2006-10-16 白い御飯が美味そうだ
観てる間中ぞくぞく鳥肌がたちっばなしで胸が熱くなる映画は久しい。勿論、映画の良し悪しはそれだけでは無いが。男に生まれて良かったと、日本人で良かったと、この映画を誇りに思う
否、老若男女を問わず国も時間さえも越えて人を熱くさせるのは周知の通り。『侍』と黒沢監督に憧憬をかさねる。観るのが遅く悔いたので躊躇してる方はすぐに観て欲しい

★★★★★ 2006-10-08 百姓は強く逞しい
一見、侍の映画だが、実は農民の強さを描いた快作。
貧しくても、強かに、侍を雇う百姓達。
落ち武者狩りで、武器を蓄える百姓達。
貧しいようでも、何でも出てくる食料。
まさに、日本経済の強さそのもの。
日本経済の高度成長を予見したストーリー。

侍達の清貧な倫理観の高さと、戦闘力の強さは、魅力タップリ。
民主主義日本の有るべき姿を強く示唆するのか?

役者それぞれの、キビキビした個性は、魅力タップリ。

何十回観ても、新鮮な感動に満たされる映画史上の至宝。
タップリ楽しみましょう。

★★★★★ 2006-09-24 久蔵について
いわずと知れた黒澤の大傑作。内容は僕がいわずとも・・・。そこで僕がいいたいのはただひとつ、宮口精二演じる久蔵!僕は七人の中で彼が一番好きだ。寡黙で、常に冷静で、無言実行。身のこなしが軽やかで、抜群に腕がたつ。男の子なら絶対に憧れるこのキャラクターを宮口精二が存分に体現している。たまに違う作品で宮口精二を観ると「あ、久蔵だ」と言っている自分がいる。
はじめ宮口さんはこの役を「侍なんてやったことないから、僕にはできない」と断ったらしい。それを黒澤が「撮り方でどうにでもなるから」と説き伏せて出演にいたったという。キャスティングにおいても黒澤は天才だったといえるだろう。宮口さんはのちにこの役を生涯で最高の役と言ったそうだ・・・。宮口精二の物静かな熱演を、どうぞご覧あれ。

★★★★★ 2006-09-13 古い邦画で白黒だからといって
敬遠すると損します。お勧めです。値段も手頃だし。
尺が長いんで鑑賞の際は「今日は見るぞ」って気合い必要かもしれませんが。
面白いのはまちがいないです。

★★★★★ 2006-08-28 あの時代だったから出来た名作!
以前、一回り上の人から、「おたくの親父さん達の世代まで、少し戦前の教育の色が残っているが、これが、うちの親父達の世代になると、もうまさしく七人の侍に出てくる百姓そのもの!」と言われたことがあります。
思えばこれは、うちの祖父には何となく思い当たる気がしまたね・・・。
以前、何度かこの作品は見たことがあったのですが、そういう目で改めてこの作品を見ると、又違った感慨があります。

百姓(庶民)とは、臆病でずるがしこく、全体のことなど見ようともせず、自分のことしか考えないし、オカミを恐れ、それでいて信用しない。
搾取されるから、何もない・・・と言っても自分の分だけはしっかり確保している。

以前、この作品を見たときは、思わず、黒澤明という人は、この時代に生きていたのではないか?と思いました。
しかし、あの作品からは、同時に昭和29年という(収録時は27〜28年ですかね。まだ生まれてませんが。)、祖父の時代の空気を感じました。
出ている俳優やエキストラも、あれはまさしく戦後の、1960年代までの顔だと思います。
今、あの作品を誰かに撮れと言っても、わらの中に潜り込んで寝たことのある役者なんていないでしょうし、黒澤作品はやはり、今となってはもう、誰も作り得ないあの時代だけの物なんでしょうね・・・。

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生きる


生きる
黒澤明
発売日:2003-03-21
おすすめ度 ★★★★★
売り上げランキング:4220


無気力な日々を過ごしてきた公務員の渡辺(志村喬)は、ガンで後半年の命と知らされ、恐れおののき、嘆き悲しんだ末、市役所に懇願する人々の願にこたえて公園を作ろうと努力していく…。
黒澤明監督が、人間の尊厳を高らかにうたい上げたヒューマン・ドラマの傑作。そこにはどんな者であれ、人はここまで高められるのだという希望と同時に、ルーティンワークに甘んじる体制社会、およびそこに安住する人々への痛烈な批判も込められている。黒澤映画のいぶし銀、志村喬の代表作。自由奔放にふるまう部下のとよ(小田切みき)との交流の数々もせつなく印象的だ。後半、いきなり主人公の葬式シーンへと飛躍し、周囲の者が彼について回想し始めていくという構成も、実に大胆かつ秀逸。最期に主人公が公園で歌う流行歌『ゴンドラの歌』は、本作の功績によって今ではスタンダードな名曲として讃えられている。(的田也寸志)

★★★★★ 2006-10-18 これすげー
初めての黒澤明監督の作品だったが、すごっ!と思った

「見ている人がどんなことを考えるのか全部知ってますよ、結局やっぱなんもやんないんでしょ。でもやる人はやるでしょ」的なものを強く痛感した。僕は前者の方だったので、恥ずかしさがこみ上げてきた

見終わってもなんかやる気は沸かず、それを見透かされていることが、とても悲しかった

★★★☆☆ 2006-10-15 感動?
感動はしません。これを見て鬱にはなるけど、中年男性の絶望と希望が入り混じりながら、何よりも孤独を感じた時人間はこうなってしまう、と言う表現は怖いくらい伝わります。それなので感動はしません、リアルな人間模様に精神殴られる感じかな

★★★★★ 2006-10-14 コメディー
「この映画はコメディーだ」
観る前にそう聞かされていたので、コメディーなんだとおもって観ました。
冒頭の医者に胃潰瘍だと言われるシーンとか葬式とか、確かにアレだけ観たらコントみたいです。
それとディフォルメされたキャラクター達がコノ映画を重くなりすぎないようにしていると思いました。
避けられない死に直面した時、自分は何をするのだろう・・・

しかし、内容よりも何よりも志村喬です。本当に素晴らしい役者さんだと思いました。
面白い顔なのにカッコイイ!!
こんな素晴らしい役者が日本にいて、自分が生まれる前に亡くなっている。なにか感慨深いモノを感じました。

★★★★★ 2006-09-23 50余年前の日本人を観て
志村喬演じる主人公(中堅幹部公務員)が勤務する市役所の
日常、病院での病人達の振る舞い、ディスコなどの遊興施設で
の人々、男手一人で育てた息子が成人した後もなお注がれる主
人公の愛情と主人公を邪魔者扱いする息子夫婦の露骨な損得勘
定とのコントラスト、誰のための通夜なのか観ている側が気恥
ずかしくなる参列者達(市役所関係者だらけ)の見苦しい言動、
・・・作中どの一画を切り取っても、21世紀の今と根本はまったく
同じといってよい光景が展開される。
50年前の白黒フィルムの中の日本に、喩えようも無く日常の
リアリティを感じる。

ぐっときてしまったのは、焼香したい気持ち一途で着の身
着のままで(喪服の持ち合わせなどないのだ)主人公宅を訪れ
た貧乏長屋の主婦達が、遺影を見てただただ泣き崩れる姿で
あり、息子夫婦が亡父の遺徳を彼女達の震える背中にうっす
らとであるが初めて認めるシーンであった。

それにしても人生60年、55歳定年制の時代の人間の「老け
方」だけは今日とは隔絶したものを感じる。最初は冴えない
ボンクラ男を、後には病に蝕まれていく姿を、それぞれ強調
するためにあえて老醜におおわれた姿を志村は演じているが、
シナリオとしては実年齢52〜54歳くらいを想定していたので
はないだろうか。当時の外観年齢は今より15歳は高かったよ
うである。

★★★★★ 2006-09-13 重たい映画が嫌いなら
お勧めはしません。
自分の終わりが近いと知った初老の男の哀しみと、肉親に慰藉を求めて得られなかった
やりきれなさ。映画として完成されていて、感動はあるんですが。重たいです。
人間終局は一人にならざるを得ないんだよなあ、って我が身に寄せて考えてしまいます。

黒澤作品の「七人の侍」とこちらどちらが良い映画か、というのは気分で入れ替わるんで
すが6:4でこちらがベストだと思う日の方が多いです。

重苦しいけど、軽い映画ばかりでなくこういうのも見といて損は無いと思う。
ただやっぱり軽い映画が好きだって言う人には勧めずらい映画です。
でも見ておいた方がいいと思う、諄いけど。

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どん底


どん底
黒澤明
発売日:2003-03-21
おすすめ度 ★★★★★
売り上げランキング:14011


★★★★★ 2006-07-29 苦い喜劇
黒澤の傑作群にあっては 幾分地味な一作である。確かに 派手な決闘シーンがあるわけでも無ければ 馬が走り回るような 大仕掛けもない。奇抜な筋立てがあるわけでもない。貧しい長屋のホームドラマでしかない。

逆にいうと 野心作であると思う。自分の得意技を封印して作った分だけ挑戦的であったはずだ。


黒澤の大きな特徴としては 海外の文学を 日本の劇に翻案する手さばきの見事さがある。「蜘蛛巣城」、「白痴」等があるが この「どん底」も 言わずと知れた ゴーリキの作品だ。原作を読んでみると この映画が原作に忠実であることが良く分かる。それだけ上手に翻案しているということだ。観ていても 本当に無理がない点は 舌を巻くしかない。

黒澤は「どん底」を喜劇と読んだと言っている。確かに映画の「どん底」には おかしさが通常低音として響いている。但し この喜劇には 苦味が詰まっている。これも 有る程度 年を食わないとわからない部分かもしれないが。

★★★★☆ 2005-03-02 再評価に値する
「白痴」「マクベス」「リア王」「どん底」。黒澤監督が映画化した外国文学の中では、この「どん底」に一番好感を持ちます。ゴーリキイの原作(ソ連の消滅した今、なかなか手に入らなくなりましたが、一級の戯曲です。福田恒存も演劇入門として奨めてゐます)を、江戸時代の日本に無理なく置き換へ、省略はあるもののほぼ忠実に映像化し、狭い窪地の底にある長屋を舞台に、馬も鉄砲も刀も槍もなく、劇そのものと役者の演技だけを見所として、芝居の神髄に迫つた作品と言へます。

音楽・佐藤勝のクレジットはありますが、いつたいどこに流れてゐるのか、ただ出演者が馬鹿囃子をがなるばかり。台詞が緊密に詰まつてゐるため、伴奏を入れる余地はなかつたのでせう。確かに舞台で音楽を流されると邪魔に感じます。いい台詞は、それ自体が歌だからです。シェイクスピアをその通りに喋らせるわけにはいかなかつたでせうが、近代劇のゴーリキイとなると、(昔出てゐた神西清の名訳あたりを下敷きに?)余り改変せずに済んだのではないでせうか。そして、入念にリハーサルを積み、複数カメラで一気に撮影したといふ、その成果が出て、黒澤映画中、最高水準の演技が見られます。因業親爺の先代鴈治郎、鬼婆の山田五十鈴、お遍路(巡礼ルカ)の左卜全が特にいいと思ひます。

嘘にすがるか、真実に生きるか、真実の側を代表するサーチン(三井弘次の喜三郎)の台詞が、大幅に削られてをり、さて第四幕は何のためにあるのか、といふ疑問も湧きますが、江戸の長屋の住人に喋らせるにはあまりに演説くさく、不似合ひなので省略したのではないかと推測します。若い時分に見たときは、それが物足りなかつたのですが、今は気にならなくなりました。

撮影や編集のトリックがほとんどない映画です。傑作とはいひませんが、演劇好きの方にお奨めします。

★★★★★ 2003-08-21 幕切れに一本取られる
長屋に暮らす人々の機微を滑稽かつ悠然と描いた秀作。特別起伏のあるストーリーではないが、長屋を舞台に時の流れをたんたんと見せることで、1秒1秒のリアリズムを克明に描いている。他の黒澤作品でも多く姿を見ることのある名脇役、左ト全が存在感ある老かいな演技を見せてくれる。その演技はどの俳優の追随をも許さぬ程、素晴らしい。作品を食卓に例えれば、豪華な一品は見あたらないかも知れないが、最後には素朴な庶民の味が満腹感を与えてくれる。また、この作品を語る上でラストシーンについて触れないわけにはいかない。名人の落語を聞き終えた後のように「やられた」と、しばらくうならされてしまうほど秀逸である。

★★★★★ 2003-08-21 幕切れに一本取られる
長屋に暮らす人々の機微を滑稽かつ悠然と描いた秀作。特別起伏のあるストーリーではないが、長屋を舞台に時の流れをたんたんと見せることで、1秒1秒のリアリズムを克明に描いている。他の黒澤作品でも多く姿を見られる名脇役、左ト全が存在感ある老かいな演技を見せてくれる。その演技はどの俳優の追随をも許さぬ程、素晴らしい。作品を食卓に例えれば、豪華な一品は見あたらないかも知れないが、最後には素朴な庶民の味が満腹感を与えてくれる。また、この作品を語る上でラストシーンについて触れないわけにはいかない。それは名人の落語を聞き終えた後のように「やられた」と、しばらくうならされてしまうほど秀逸である。

★★★★★ 2003-08-21 ラストが秀逸
長屋に暮らす人々の機微を滑稽かつ悠然と描いた秀作。特別起伏のあるストーリーではないが、長屋を舞台に時の流れをたんたんと見せることで、1秒1秒のリアリズムを克明に描いている。他の黒澤作品でも多く姿を見ることのある名脇役、左ト全が存在感ある老かいな演技を見せてくれる。その演技はどの俳優の追随をも許さぬ程、素晴らしい。作品を食卓に例えれば、豪華な一品は見あたらないかも知れないが、最後には素朴な庶民の味が満腹感を与えてくれる。この作品を語る上でラストシーンについて触れないわけにはいかない。名人の落語を聞き終えた後のように「やられた」と、しばらくうならされてしまうほど秀逸である。

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蜘蛛巣城


蜘蛛巣城
黒澤明
発売日:2002-11-21
おすすめ度 ★★★★★
売り上げランキング:13641


???時は戦国時代、武将・鷲津武時(三船敏郎)は、妻・浅茅(山田五十鈴)にそそのかされて主君を殺害し、その城主となるが、朝茅は次は親友の三木義明(千秋実)を殺害するよう強要する…。
???黒澤明監督が敬愛するシェークスピアの『マクベス』を戦国時代に翻案して描いた、幻想と恐怖に彩られた人間の業を露にする戦国絵巻。武時に謎の予言を伝える老婆(浪花千栄子)の不気味な幽玄性や、「森が動く」という台詞どおりに本当に森が動いたとばかりに驚嘆させる映像技術の素晴らしさ、そしてクライマックスでは、主人公に本当に無数の矢を射かけていくという、ダイナミズムを通り超えた恐怖の演出をも堪能できる。能を効果的に用いた佐藤勝の音楽も秀逸で、彼は本作から黒澤娯楽映画絶頂期の音楽をことごとく担当し続けることになった。(的田也寸志)

★★★★☆ 2006-10-15 ホラー
怖いです。黒澤映画で本格的なホラーはこれ一本だと思いますが、そのホラーと言うのも人間の醜さを集結させた様なお話。人間にとって一番怖いのは人間だと言わんばかりの流れでやられます。

★★★★★ 2006-09-27 シェイクスピア映画の最高峰−−無声映画の美しさに立ち戻った世界映画史上の傑作
シェイクスピアの『マクベス』を、黒澤明監督が、戦国時代の日本の物語に翻案した、世界映画史上に残る傑作である。この映画が、欧米で、どれだけ高い評価を受けたか、若い人達は知らないかも知れない。例えば、ロンドンに国立映画劇場が落成した時、イギリス人は、こけら落としに、黒澤監督を招いて、『蜘蛛巣城』を上映したのである。又、ピーター・ブルックは、コージンツェフの『ハムレット』と黒澤明の『蜘蛛巣城』を全世界で作られたシェイクスピア映画の最高峰だと言ひ切って居る。−−シェイクスピアの国の人々が、この映画に熱狂したのである。−−更には、スピルバーグなども『蜘蛛巣城』を絶賛して居る。
かつて、黒澤明監督は、『羅生門』を監督した頃の事を回顧して、自分は無声映画の美しさに戻りたかったのだ、と言ふ意味の発言をした事が有る。映画の原点である映像その物の美しさに戻りたかったと言ふ意味である。『蜘蛛巣城』には、『羅生門』以上に、そうした無声映画的な造形美が溢れて居る。−−雨の森、その雨の森で道に迷ふ馬と武者、そこに現れる妖怪、風にはためく旗、霧の中で動く森、そして、鷲津(三船敏郎)が矢を浴びるあの有名な場面、など、まさに無声映画の様な、映像その物の美が、極限まで高められた傑作である。佐藤勝の音楽も素晴らしい。メインタイトルに流れるあの笛の旋律は、日本の映画音楽史上に残る傑作である。私は、日本がこの映画を生んだ事を誇りに思ふ。

(西岡昌紀・内科医)

★★★★★ 2006-09-06 難しく無い話。
戦国の世を題材にした作品だからといって臆する必要が無い作品だ。内容はわかりやすく、人間のモロさが出ているところが黒澤映画の入りやすさでもある。冒頭の「大殿様」への戦況報告は、音声の悪さもあるが、何を言っているのかわからない。しかし、観ていくにつれ聞漏らしても問題無い「つくり」になっている。一方で、黒澤映画に限らず邦画によくみられることであるが、描写の生々しさを感じとれる。ここに生命感を見出すことも出来るであろうし、ものすごい恐ろしさを感じることもできる。ものすごい野外セットを含め、よくできている。エンターテインメントであることが前提としつつ、人間の欲深さに焦点をあてた秀作だ。

★★★★★ 2006-07-08 人間こそホラーかと 
三船が霧深き蜘蛛手の森をさ迷うプロローグから、全身首までを矢に射抜かれて断末魔を迎えるエピローグまで、全編これ蜘蛛の巣でおおわれたようなこわーい映画。
三船は相変わらず上手いが、山田浅茅がいい。かすかな衣擦れの音と、エロチックな正調日本語で亭主をそそのかす存在感は忘れ難い。おなじみの「洗っても洗っても・・・」のシーンは、怖さも怖く、演技も素晴らしく、ニ重の意味で鳥肌が立つ。
「陰」の恐怖で終始した後、矢玉の雨という「陽」の恐怖で一挙に破滅へとなだれこむ。それまで息をつめて見ていた観客にある種の爽快感を味わわせて終わるはさすがプロの技。
雨のそぼ降る夜にでもゆっくりと御覧になってはいかがでしょうか。



★★★★★ 2005-09-26 マクベスを越えて
マクベスはシェークスピアの物語の中でも屈指の名作だと思うが、その原作のもの凄さに真っ向から太刀打ちできる作品を日本人が制作したというのが嬉しい。
三船はうってつけである。その猛将ぶり、妻にそそのかされて道を踏み外してゆく悲劇性といい、彼しか演じることはできないだろう。
山田五十鈴のねっとりとした凄みは原作のマクベス夫人より遥かに恐ろしさを含んでいた。
圧巻は三船演じる鷲津の最期。これは見なければわからない。
物を作るということへのエネルギーと精神の在り処を考えさせる。
こういうのを見ると、見る気を失う作品が増えて困る。

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白痴


白痴
黒澤明
発売日:2002-12-21
おすすめ度 ★★★★★
売り上げランキング:50791


???戦争のために精神に障害を受け、人から白痴と呼ばれるようになった無垢な男・亀田(森雅之)と、復員途中で知り合った金持ちの息子・赤間。なぜか気の合うふたりは赤間の故郷・札幌の写真館で、ふと美しい女性・妙子(原節子)の写真を見た。まもなく3人の、そして周囲をも巻き込む壮大なかつ赤裸々なドラマが始まる…。
???巨匠・黒澤明監督が、敬愛するロシアの文豪ドストエフスキー『白痴』を原作に、舞台を北海道に置き換えて演出した野心作。まるで北海道がロシアのように思えてくるほどの気品高い見事な雪の世界観の中、真に純粋で善良な者が白痴と称されてしまう病理的な社会に鋭いメスを入れている。なおこの作品は当初4時間25分で完成させたが、会社の要請で3時間に短縮して3日間ロードショー。その後の一般公開の際はさらに14分短縮され(このとき黒澤監督は「これ以上切るなら、フィルムを縦に切れ!」と激怒した)、残念ながら現在は公開時のプリントしか残っていない。(的田也寸志)

★★★★★ 2005-08-24 完全版が見たい!!2時間40分はこの映画には短すぎ!!
最近、三島由紀夫が主演した『憂国』の完全版フィルムが倉庫の奥で見つかったというニュースが新聞に載りましたが、この『白痴』にもそういう出来事が起こらないものでしょうか。

 もとは4時間25分あったそうですが、やっぱりそうでしょうね。映画が始まってすぐに、黒地に白の縦書きの字幕でストーリーを説明する箇所が三箇所ぐらい出てくるのですが、こういう箇所もたぶん劇場公開するときにバッサリいかれてしまった部分なのでしょう。

 もったいないですよね〜。実にもったいないです。こういう作品は短くしたらいけませんよ。完全版だったら、きっとあの左卜全だってもっと味のあるキャラクターとして登場していたはずなんです。このバージョンだと単なるチョイ役ですから。う〜ん、もったいない。

 この映画は第一部の「愛と苦悩」と第二部の「恋と憎悪」という二部構成なのですが、それぞれの見所は、第一部はパーティー会場で亀田が原節子演じる妙子に「私があなたをもらいます」と告白するシーン、そして第二部は原節子と久我美子の女の精神戦ですね。派手なアクションなんかもちろんあるわけないのですが、最近のハリウッド映画なんか全く問題にしないこの息詰まる緊張感はものすごいです。

 見たかったな〜、完全版…。悔やんでも悔やみきれないですが、文句無しの☆五つ。素晴らしい名画です!!

★★★★☆ 2004-10-24 舞台劇を見るような俳優たちの演技に注目!
三船敏郎、原節子、森雅之など当時の大スターを揃えた文芸大作。モノクロームの世界で繰り広げられる重厚感や、舞台劇を思わせる俳優の計算され尽くした演技は見るべきところが多い(森雅之は少々過剰すぎる気もしたが)。特に久我美子の「自分の美しさを十分に知っている気の強いお嬢さん」という役柄はハマリ過ぎと言ってよい。
ただ、室内劇の細やかな心理描写に重きを置いているため、ロケ地である北海道の雄大さが表現し切れていないのが残念なところ。また、必要以上のカットのせいかもしれないが、ストーリーを追いきれない部分があるのも気になる。
それにしても原節子と東山千栄子の役柄は、小津安二郎監督作品で見るイメージとはまことに対照的だ。ドラマ性を重視する黒澤と定点観測者の小津、両監督の個性の違いが垣間見えたようで面白かった。

★★★★★ 2004-03-13 大いなるアイロニー、そして監督の愛する人物像たち。
実は学生時代この映画で退屈した思い出があります。
今回もかなり気合入れて観ました。そして感想をどうしても書きたくなりました。

「素晴らしい」冷静に考えると「羅生門」と「生きる」の間の映画ですので悪いわけないんですが大映、松竹、東宝と映画会社が異なっているので並列的に観る機会がありませんでした。しかし、「真に善良的な人間を描くためには、その人物をこの映画の題名のような病状の人間にしなければならなかった」と監督がおっしゃっているように素直な人間だけが最後におかしくなっていきます。

第一部「愛と苦悩」のパーティーのシーン、まさに白眉の出来です。室内劇の素晴らしさ存分に発揮しております。そして第二部「恋と憎悪」ここで久我美子を待っているときの原節子の姿、とてつもない構図、すなわち、中央にステンドグラスをバックにマントの原節子、手前に画面を横切る形で三船敏郎が寝てます。顔を上げているので右下に男の顔、中央に女の顔という構図でバランスがすごくいいのです。バックに流れる音楽はイワノビッチの「ドナウの小波」最高のシーンです。このパーティーからこの女の対決まで、外は極寒の札幌の吹雪の動的な印象の中、登場人物の動きは対照的に静的に動きがなくその対比の見事さは感服します。そして、外の吹雪は登場人物の心のなかの情動的な激しさを示しています。このような対比を、映画自体は堂々としたリズムを崩さないで進行させた黒澤監督に敬意を表したいと思います。本当に素晴らしい。なまじ上記の作品の間に出来た映画ではないです。まさにこれらの映画に勝るとも劣らない傑作です。久我美子の映画の中での最後の言葉、かなり監督の想いが詰まっていると思います。冒頭にも書きましたが学生時代にはこの素晴らしさが私はわかりませんでした。今回は見終わって震えが止まりませんでした。感動にこれだけ包まれることはそんなにないのですがまさに感動的な映画です。

★★★★★ 2003-05-06 凄い ・・・・・
ただ一言、 凄い映画ですね。
終盤近く、 二人のヒロイン、 原節子と 久我美子の対決場面(本当に決闘する
わけではありませんが。) がありますが、 あまりの緊迫感に 鳥肌が立ちました。

★★★★★ 2003-02-09 森雅之と原節子!
本来、原作である小説と映画は別物と考えます。しかし、この作品に関しては、小説を読んでから映画を観た方が、長時間カットされた部分を頭の中で補え何倍も楽しめるのではないでしょうか(いきなり登場する左卜全は小説を読んでおくと思わずニヤリ)。

とにかく圧巻は森雅之と原節子!この二人の目は、映画の中の演技という範疇を超え、「崇高な魂」に限り無く近付き、観ているこちらが身震いさえ起こす程です。三船敏郎、久我美子も非凡、東山千栄子、千秋実も印象的。素晴らしいとしか言い様がありません。

ドストエフスキーの最上の映画化という評を目にしましたが、この作品を超えるものがあるとすれば、完全版の『白痴』しかないでしょう。

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