静かなる決闘 ― デラックス版
静かなる決闘 ― デラックス版
菊田一夫
発売日:2002-09-06
おすすめ度 ★★★★★
売り上げランキング:4403
???若い医師の藤崎(三船敏郎)は、戦時中に中国戦線の軍医として従軍していた際、負傷兵・中田の手術中に誤って梅毒に感染してしまった。6年後、父の経営する病院で働く彼は、梅毒の兆候が現れ出したことから、恋人・美佐緒(三条美紀)との婚約解消をほのめかし始める。そんなある日、病院に中田が妻を伴って現れた…。
???製作当時は不治の病だった梅毒をモチーフとしたヒューマン・ドラマ。医者としての自分の使命をまっとうしつつ、静かに病魔と、そして己の人生と闘おうとする主人公を三船が好演している。彼をめぐるふたりの女、藤崎に命を救われた元ダンサーの見習看護婦(千石規子)と美佐緒とを対比させた描き方もいい。本作のみ、音楽を『ゴジラ』などの巨匠・伊福部昭が担当している。(的田也寸志)
★★★★☆ 2006-03-22 面白いんだけど・・・
黒澤作品の中では評価の低い作品だとは思う。しかし、面白いのである。こんなに面白いのに評価が低い理由はたぶんたった一つである。主人公が恋人と結婚できない理由を隠し通す理由がわからん。普通、話すだろ。そこに無理があるから見終わった後、すっきりしないんだよね〜。例えば、これが梅毒でなくエイズだったら言えない理由もわかるんだけどね。もしかしたら当時の梅毒って今のエイズ並みだったのか。でも、エイズの場合、発病したら治療法は全くない。でも梅毒は当時も治癒の可能性があるわけだしなぁ。実は主人公が同性愛者でエイズだったとかいうなら言えない理由もわかるんだけど。
★★★★★ 2006-02-13 人生の幸福とは。
若き医師である藤崎恭二(三船敏郎)は、野戦病院での手術中、メスで傷つけた指のまま梅毒患者に縫合作業をしてしまい、自分もまた梅毒に感染する。内地(日本)には許嫁・松本美佐緒(三條美紀)が居た。終戦後、彼は梅毒が完治するまでは結婚しないと決心をし、しかもその理由を許嫁はおろか父・孝之輔(志村喬)にも話せないのだった…。
不治の病に感染した若き医師の苦悩を描くヒューマンドラマ。
さて、物語の主人公の許婚に対する態度について、一つの問題提起をしていると考えることができると思う。
(黒澤監督の意図は解らないが、仮に「黙して語らず、孤独な闘い」と云う美意識を単に描いていたとしても、現代的視点から捉えなおす必要があると思う。勿論、当時における「梅毒」の重みを考慮に入れなければならないだが。)
その後、許婚は幸福な人生を歩んだのだろうか。否、不幸だったと思う。若輩者の私が言うのもおこがましいが、人生の幸福は、やはり「自分の存在が、人の役に立っている」と実感できることだと思う。ましてや“愛する人”に対してであれば、尚の事だと思う。もちろん彼にとっては、“愛すればこそ”の選択(戦時中から6年間待たせていた)だったのだが、現代的視点からすると(少なくとも私の考えでは)、やはり独りよがりの感は否めない。彼女は、仮令「通常の夫婦生活」が送れなくても、彼の傍に居る選択をしたはずで、それでも「幸福な人生」を送った思えるから。
彼に仄かな想いを寄せる見習い看護婦(千石規子)の方が、ずっと「幸福な人生」を送れそうな予感をさせるエンディングに何とも皮肉な人生の巡り合わせを感じた。
★★★★★ 2005-01-03 三船かっこ良すぎ!
〜黒沢明の映画の中ではあまり語られる作品ではないようですが、
内容はとても面白いです!
なにより若い三船の誠実な医者姿にときめいてしまいました。
お父さん役が志村喬で、そのお父さんとのソファーでのやり取り(タバコの火をつけるシーン)など、微笑ましいぐらいです。
それからなんといっても忘れられないのが千石さん(三船に恋する看護婦の役)〜〜。
千石さんは酔いどれ天使でも居酒屋の女の人で出てきますが、千石さんの成長ぶりや気持ちの変化など可愛くってしょうがありません。
三船が押さえ続けていた心情を激白するシーンはよく考えてみるとかなり恥ずかしいことをいってますが(笑)それを含めて買い!です。
のちの菊千代、三十郎三船とまた違った魅力に出会いたい方は是非。〜
★★★★☆ 2003-04-16 やはり面白かった
最近 黒澤監督の映画に凝ってます。
いろいろ見ましたが、 どれも面白く「ハズレ」というものがありませんね。
本作もそのひとつ。
見る前は なんとなく地味で退屈そうな感じがしたのですが、 実際に
見てみると 素直に 面白いと思いました。
現在ならば さしずめ エイズを題材に この作品の リメイクが作られても
よさそうなものですが、 どうして 作られないんでしょうか。
それから 三船敏郎という役者さんは 本当に カッコいいですね。
今の時代、 彼に匹敵するタレントや 俳優さんはいないと思いました。
それから、 脇役で ダンサー崩れの看護婦さん役の女優さん。
素晴らしいですね。
あんな凄い演技のできる女優さんがいたのかと正直驚きました。
いずれにせよ、 一度は鑑賞する価値のある作品だと思います。
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