酔いどれ天使
酔いどれ天使
黒澤明
発売日:2003-01-21
おすすめ度 ★★★★★
売り上げランキング:3016
???戦後の焼け跡の悪臭漂うゴミ捨て場。その向こう岸で医師を営む飲んべえの真田(志村喬)は、ある日ヤクザの松永(三船敏郎)の怪我の治療をしたことから、彼が結核であることを察知し、その無謀な生きざまを痛烈に批判していく…。
???黒澤明監督の名声と人気を決定付けたヒューマン・ドラマ。テーマはヤクザ批判、戦争批判なのだが、時の新人俳優・三船のギラギラした個性が際立つあまり、松永が主人公の医者以上に魅力的な人物と化してしまったことは、黒澤監督にとって大きな誤算だったのかもしれない。しかし、本作から黒澤&三船の黄金コンビによる傑作群が続々と誕生することとなる。また、本作で黒澤映画の音楽を初めて担当した作曲家・早坂文雄は、その後も名コンビとして黒澤映画音楽の秀作を次々と世に生み出すこととなった。(的田也寸志)
★★★★★ 2006-10-18 熱いぜ
心と心がぶつかり合う熱い!映画ですね。医者とやくざがお互いがお互いを毛嫌いしてるのを始めに、医者の優しくも厳しい言葉が心を開かせていくが、プライドが邪魔をし二人の空回りは続いていく。とても不器用な二人の関係がどう展開していくか、是非見てみてください。
★★★★★ 2006-05-08 最高です
「酔いどれ天使」
この作品は私にとってはとても思い入れの深い作品です。最初は暇つぶしにと思って観ていたのですが、時間が経つにつれて自然に画面に集中している自分がいました。そして観おわってみると何ともいえない感動が起こりました。何故これほどまでに私が感動したかというと志村喬さんが演じていた真田がとても格好よかったからだと思います。やくざ相手に一歩も引かない喋り方。口は悪いけど根はすごく優しい所。松永のために新鮮な卵を買う所にその優しさが表れてますよね。とにかくこの作品は最高だと思っています。黒澤作品の中では勿論の事、私が今まで観た映画の中でも恐らくこの作品を越える作品はないと思います。それぐらい好きな作品です。昔の映画は本当にいい作品が多いなとこの映画を観て改めて思いました。
★★★★★ 2006-02-22 やくざ
映画とは時代を映す鏡、といわれる。この作品などはその好例だろう。どこを切っても人間、人間、人間の生活臭で溢れた画面は、その当時をリアルタイムで知る世代には郷愁を、今の小奇麗な映画を見なれた若者たちには驚きと、もしかして嫌悪感すら与えるかもしれない。
志村喬演じる医者は、あの赤ひげ先生に似て、ずけずけと物をいい、あいつなんか知らん、といいながら誰よりもそいつを気にしているという、よくあるタイプの人物設定だし、三船演じるやくざも、わかっちゃいるけどやはり運命に抗い難く、その与えられた最期へずるずると流れていく男で、これもよく見るタイプ。
だが黒澤の手にかかるとこれがやはりずしんと見ごたえのある一本に変身するのはなぜだろう。そのなぜを知りたくて我々は黒澤映画をみるのだろう。黒澤さんはやくざが嫌いだったらしいが、この三船はあまりに美しい。こんなやくざとなら一緒に落ちてみたい、と思う女性もいるかもしれない。映画とは意外なものだ。
★★★★★ 2005-12-21 わが母が若い頃・・・生き抜いてきた時代背景がリアルに見える。
この作品を観ていると、わが母が若い頃・・・生き抜いてきた時代背景が手に取るようにわかる。「結核」という病気は、怖い病気であり、「卵」というものが、当時いかに贅沢品だったのかがわかる。結核に感染したヤクザ役との三船敏郎さんと、赤ひげ医師役の志村 喬さんの演技が輝いている。
★★★★★ 2002-11-21 若き黒澤の熱き魅力
「世界のクロサワ」になる以前、まず此処日本において突出した評価を受けるに至った初期作品。
上手い作品か?とか、良い作品か?と聞かれても頷きがたいものがある。なぜそこまで力んだ演技・演出になるのか、乱暴なまでのヒューマニズムの押し付けはどうして。では嫌いな作品か?と聞かれれば、迷わず好きだと言ってしまうだろう。うますぎる、良すぎる映画群の中で結局気になってしまうのだ。良いも悪いも、気に障ることさえ若き黒澤の煮えたぎる熱さとして魅力溢れるシーンがドサッと込められている。
特にラスト近く、余命いくばくもないヤクザが、自ら望んで(?)返り討ちにあうべくして決闘する最後、開き戸の窓から視える光景は震えるほど美しい!
あのシーンを観るだけでさえ何度でも観直したい映画だ。
不謹慎な物言いだが、最期にあの光景を視られた男は幸福だ。いや、
それとも見続けることが出来ないのは悲劇なのか・・・・。
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