隠し砦の三悪人
隠し砦の三悪人
黒澤明
発売日:2003-03-21
おすすめ度 ★★★★★
売り上げランキング:10162
???戦乱の世の中、隣国の山名家と戦い敗れた秋月家の侍大将・真壁六郎太(三船敏郎)は、世継ぎの雪姫(上原美佐)を擁して隠し砦にこもり、軍用金とともに同盟国・早川領への脱出を試みる。
???黒澤明監督作品中でも、ハリウッドの時代大作を凌駕するスケールの大きさが誇らしいビッグ・エンタテインメント時代劇大作の優れもの。馬で逃走する敵を主人公が追いかけ、背中から真一文字にぶった斬るといったダイナミックな殺陣の数々は、その後のハリウッド映画アクションものでさまざまな形で流用されている。また、主人公らにまとわりつくふたりの農民(千秋実&藤原鎌足)も、後のアメリカ映画 『スター・ウォーズ』のロボット・コンビのモデルにもなった。いよいよ早川領への脱出シーンの際に、そこで主人公の味方となる旧敵(藤田進)が叫ぶ「裏切り御免!」は映画史上に残る名台詞。映像の1秒1コマに至るまで、ぴったり合わせた佐藤勝スペクタクル音楽の素晴らしさも特筆ものである。(的田也寸志)
★★★★★ 2006-10-01 これが代表作じゃないの?エンターテイメント魂
わくわく、ドキドキがとまりません。
のっけからカメラワークに惹きつけられます。(あの、落ち武者の登場のしかた!)
全く古さを感じさせない、話の面白さ、展開のテンポのよさ。
「七人の侍」は、あまりに長いため今となっては少々割愛したほうがいいんじゃないの?
と思いますが、この作品はちょうどよい塩梅。
もっとも当時映画は長いほうが観客は喜んだのでしょうが。
黒澤監督の代表作は「七人の侍」や「羅生門」だと思って最初に観て誤解してしまう人を増やすより、こっちを最初に見てもらったほうが入りやすいと思うんだけど。長さも手ごろだし。
ハリウッド映画に与えた影響がいかようなものか判る。
中学生ぐらいの子供に黒澤映画を見せるのだったら、まずこれでしょう。
そして高校生になったら「羅生門」も観てもらいましょうな。
★★★★★ 2006-09-06 藤原釜足と千秋実のコンビが何とも楽しい
監督の黒澤明が、「しんどいものを二本やったから、ひとつ追っかけ形式の面白い時代劇を作ってやろう、そんなきっかけでした」と語っている1958年(昭和33年)製作の映画。しんどかった二本とは、『蜘蛛巣城』と『どん底』のこと。
侍大将・真壁六郎太を演じた三船敏郎もよかったけれど、何より楽しかったのは、藤原釜足の又七と千秋実の太平の雑兵コンビのくされ縁、金銭欲をむき出しにしていがみ合うやり取りの面白さ。同郷のこのふたり、ぜーんぜん懲りない奴らなんですよねぇ(笑) 転んでもただでは起きない、その手にしっかり金を掴んでいなければ・・・・・・という、欲まる出しのふたり。「その金、おいらに半分よこせ」「やなこった。おらが先に見つけただ」などと言い争いながら、つかず離れず、雪姫逃避行の道中を共にする凸凹コンビ。あちこちでくすりとしながら、大いに楽しませてもらいました。
佐藤勝のテーマ音楽もいいっすねぇ♪ 軽快なマーチ調の音楽が、痛快なこの作品にぴたりと合っていて。冒頭のクレジット・シーンからわくわくしましたよ。
最後に、上原美佐の雪姫。彼女が一番生き生きと輝いて見えたのは、山中での火祭りのシーンでした。野性味が炸裂するこの火祭りの踊りの場面。一瞬の生の輝き、命の閃きを表現したこのシーンが心に残ります。
★★★★★ 2006-08-28 私の中での出色の黒澤作品。
時代劇黒澤映画・・・と言えば、どうしても、多くの人には、「七人の侍」が思い浮かぶだろうし、「椿三十郎」や「用心棒」などの方が、親しまれているのかもしれない。
しかし、私の中では、時代劇物として、黒澤映画の中では、出色の出来だと思われるのが、この作品である。
強欲で小心な、「庶民」というものの姿を通して、人間の生の姿を赤裸々なまでに描き出し、一方で、「欲」というもののもつ、凄まじい、それでいて、これほどに確かなものはないものを極めて的確に、そして、コミカルに描いた作品であり、その構成上も、一分の無理も感じられない逸品である。
また、武士に対する、この「庶民」の姿というものは、まさしく、映画公開当時の人々が持っていた、戦前の「官」というものに対する、「庶民」の姿であったろう。
そして、それは同時に、この、小心で、強欲で、それでいて、意外に利口な「世間」というものの姿、そのものでもあったのかもしれない。
★★★★★ 2006-07-17 哄笑 怒号 汗 光
黒澤明の諸作品でも 人気という点では 上位5本にはまず入る作品かと思っている。実際 この作品は三船敏郎の頂点の一つをなしている気がしている。アクションの切れ味、時折魅せる愛嬌等 三船敏郎の魅力が もう一杯詰まっている。
話の筋立ても非凡であるし 黒澤が脚本を練りに練った様子が目に見えてくる。実際 今の邦画に一番足りないのは 資金ではなく 途方も無く素晴らしい脚本なのだと思う。これは 才能を発掘する努力を邦画界が続ければ 必ず可能なはずだ。
映画として 小生が敢えて 難をつけるとしたら 前半部分がやや長い気がする点である。もう少し 前半を短く出来たら 更にひきしまった作品になっていた気がする。
しかし それは瑣末事に過ぎない。哄笑、怒号、汗、光が渦まく 未曾有の作品だ。
★★★★★ 2006-06-15 敵陣突破に挑む!
戦国時代を背景に、戦い敗れた大将が隠し持つ軍資金と世継ぎの姫と共に、困難な敵領域を突破しょうと試みる奮闘を描く、1958年製作・『黒澤 明監督』の痛快娯楽時代劇。
「山中家」と一戦を交え敗れた「秋月家」の残党は、お家再建の軍資金と世継ぎの姫と共に身を隠し、敵陣を突破しょうと脱出の機会を狙っていたが・・・・・・。
偶然にも軍資金(黄金)の一部を発見する百姓の太平(主演:千秋 実)と又七(主演:藤原釜足)の爆笑コンビの登場、孤軍奮闘する秋月家の大将・六郎太(主演:三船敏郎)の活躍。
また、敵・山中家の大将・田所兵衛(主演:藤田 進)との槍:槍の対決、‘裏切り御免’の策略で寝返りする救出劇、随所に描くハラハラ・ドキドキの危機一髪からの脱出など盛り込み、敵領域を突破する面白さは圧巻で、最後まで飽きさせない。
そして、熱演する太平:又七の爆笑コンビの葛藤劇が大いにいかされ、脇役を生かした作品の出来ばえには驚かされるが・・・・・。
>>もっと詳細を見る