夢
夢
黒澤明
発売日:2006-07-14
おすすめ度 ★★★★★
売り上げランキング:26422
★★★★★ 2006-09-21 悪夢から美しい夢まで
8話のオムニバスなので、全てがいいとか悪いとか、そういう見方はしませんでした。話の中で一番印象的だったのは桃畑の雛の舞。美しかった。怖かったのはトンネルの話。夢ってこうだよなぁ、訳分からないけれど、妙にリアルだったり・・・
色々なエッセンスがつまった不思議な映画でした。でも、まごうことなき夢を描いた映画だと思います。
★★★★★ 2006-09-05 スコセッシ
漱石の「夢十夜」は、夢が夢であることをテーマに据えた作品でしたが、そのような試みには多く為されてきたものではありません。
夢が、魅力的であると共に、純粋な物語として機能しづらい一面があるからでしょう。
しかし、掴み所がなく、分析の手間を要する、そこが夢の魅力であると思うので、
本作に収められた、一部の「物語として機能する」ような夢は、正直なところ夢を用いるまでもなく、SFでも充分なものだったのが残念です。
明らかに環境問題を底流に意識したような全体の流れも、夢の余韻を「忘れさせてしまう」という意味では、作品の特性上あまり好もしくないと言わざるを得ません。
しかし1話の狐の嫁入りのまさに世界のクロサワな素晴らしい映像美や、最終話の「無国籍的な日本」という黒澤明的な人物の魅力などは素晴らしい。
なんやかんや今までに十回以上も見てしまっている作品です。
★★★★☆ 2006-07-18 『生きる』ことの素晴らしさを表現した黒澤監督の仕事
私はこんな夢を見たという文字からはじまる8つのエピソード
ゆえにある意味実話にカテゴライズできるのではないだろうか
誰でもできそうで真似出来ない究極
個人的に「第5話/鴉」と「第8話/水車のある村」がずば抜けてよかったのですが
「第5話/鴉」はゴッホを題材にした話で主人公がゴッホの個展で絵を見ていて絵の中に吸い込まれていきゴッホと語るというメルヘンな話
ゴッホは言う
『こんな素晴らしい風景があるのにあなたはなぜ描かないのだ?』と
生きれるのに、夢を追いかけ、何をするのも自由で可能性は無限大なのになぜ止まる必要があるのかとそういうことだろう
『炎の人ゴッホ』という映画もよかったが強烈な言葉に見舞われる
言葉が強い人は映画監督だろうが画家だろうがミュージシャンだろうがどうにでも柔軟に対応できる資質を持ちあわせるのだ
だから画家になりたかった黒澤監督は画家も可能だ
「第8話/水車のある村」
では、老人が黒澤監督の『生きる』に匹敵する『生きる』を淡々と語る
電気もない村で水車を作る老人
彼に電気がなければ夜暗いでしょう?と聞けば
『夜は暗いもんでしょう、星が見えんでしょう』と・・
一言一言がどっしりする
『生きるのがつらいという奴はきどってんですよ』
ゴッホの話にも通ずるこの言葉は大切にしたい
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